胃もたれについて
食べものが胃からなかなか十二指腸に排出されず、胃に留まっているため、胃が重たく感じたり、不快に感じたりする状態を胃もたれと言います。感染症の初期症状や、自律神経の乱れ、胃の働きの低下、消化の悪いものや食べ過ぎが原因とされます。過食による胃もたれは、食事を抜いて安静にすることで改善できます。慢性的な胃もたれは、さまざまな疾患が考えられます。ほかの疾患が原因の場合は、その疾患の治療を行います。
症状
一般的な胃もたれの症状は、胃がもたれる・胃に不快感がある・膨満感・ゲップがよく出るなどが挙げられます。
胃もたれの原因
胃の機能が低下すると、消化にかかる時間が長くなり、長時間食べ物が胃に溜まった状態が続きます。以下の項目が胃もたれの原因となります。
蠕動運動の衰え
加齢や運動不足によって、消化器の蠕動運動機能が低下すると、食べ物が胃の中に長時間滞在します。
自律神経の乱れ
ストレスなどで自律神経が乱れると、胃の機能も乱れます。
女性ホルモンの影響
胃もたれの起こる時期と月経周期が関係している場合は、黄体ホルモン(プロゲステロン)が影響して起こっている可能性があります。胃もたれの周期になったら、消化の良いものを食べるように気を付けるだけで症状が改善します。
ピロリ菌感染
ピロリ菌感染と胃の炎症や潰瘍・胃がんと関連があり、ピロリ菌は有害物質を排出するため胃もたれを引き起こすことがあります。ピロリ菌感染が疑われる場合は、感染の有無を調べて陽性ならばピロリ菌除菌治療を行います。
就寝前の食事
就寝直前に食事をすることで胃もたれが生じる場合があります。眠っている間は消化機能が低下するため食べ物を消化できません。寝る前の食事が習慣化していると、慢性的に胃もたれを生じる場合があるので注意が必要です。
慢性的な胃もたれの治療
慢性的な胃もたれでお悩みの場合は、まず患者さんの症状やお悩みを問診で伺います。胃もたれが起こるタイミングや食事の内容、既往症や服薬中のお薬、お悩みなどを丁寧に伺っていきます。血液検査・内視鏡検査・超音波検査などで、重篤な疾患が隠れていないかを調べます。ピロリ菌に感染している場合は、除菌治療を行います。胃もたれの原因として特別疾患が認められない場合は、食生活の改善や胃の機能を促す薬などで治療していきます。
ピロリ菌除菌治療
ピロリ菌の感染が認められたら、抗菌薬と胃酸分泌抑制薬を7日間継続服用し除菌治療を行います。除菌治療6週間後に判定検査を行います。1回目の除菌治療に失敗した場合は、2回目の除菌治療を行います。ほとんどのケースで2回の除菌治療で成功しています。
食事について
避けたいこと
- 食べ過ぎ・飲みすぎなど暴飲暴食を避けます
- 腹八分を心がけます
- 就寝直前の食事を控えます
- 夕食は就寝の4時間前までに済ませます
控えたいもの
- 脂肪分の多いもの・動物性脂肪
- 甘いもの
- 香辛料などの刺激物
※ただし、厳密に制限したり、神経質になり過ぎたりすると食事自体がストレスになります。ストレスがかからないよう、程よく気を付けましょう。また、食物繊維の摂り過ぎは消化時間を要するため胃もたれに繋がるので注意してください。
生活習慣
運動不足は、消化管の蠕動運動機能を低下させます。適度な運動によって胃の働きを促進することは非常に大切です。散歩や速足など軽い運動を生活の中に取り入れましょう。規則正しい食事と十分な睡眠でストレスを溜めない生活を心がけてください。